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専門分野
システム生物学、バイオインフォマティクス、深層学習
研究概要
ムーンショット目標7「脳内セノインフラメーション」の研究開発分担者として、樋口PMのもと、数理モデルとAI解析の専門家として参画しています。本プロジェクトでは、他の分担研究者(柿田、瀬藤、増田、星野ら)が得たヒト剖検脳、モデル動物、オミクスデータなどの多元的な生体データを統合的に解析する役割を担います 。 具体的には、先進的な深層学習や因果推論モデルを駆使して、認知症病態における「セノインフラメーション(細胞老化と炎症の連環)」の鍵物質や起源物質を同定し、治療介入による病態変化を予測するシステムの構築を目指しています 。分子・細胞レベルの機序を数理モデル化し、臨床データと統合することで、個々の患者様に最適化された予防・治療戦略を提案する「デジタルツイン」の実現を最終目標としています 。

担当テーマ
認知症発症の超早期予測・病態解明のための数理モデルの開発
1. 多元的な生体データの統合解析と特徴抽出
血液検査、画像検査、オミクスデータ等の多元的な生体データを統合する解析手法の開発を行っています。特に、単一細胞オミクスデータ(シングルセル解析)の統合解析に注力し、細胞特異的な特徴抽出を行います。また、時系列データ解析手法を開発することで、認知症の病態進行の動的な変化を捉える基盤を構築します。これにより、種間で保存された病態メカニズムや、ヒト特有の特徴を抽出することを目指します 。
2. 深層学習と因果推論によるリスク予測アルゴリズム
開発した数理モデルを基に、認知症発症リスクを予測するアルゴリズムの構築に取り組んでいます。血液バイオマーカーや画像データなどの臨床データを入力とし、将来の認知機能低下リスクを予測する先進的な深層学習モデルを開発します。ここでは単なる予測だけでなく、「因果推論手法」を導入することで、ブラックボックスになりがちなAIモデルの解釈可能性を高め、リスク因子間の相互作用や階層構造を可視化することを目指しています 。
3. デジタルツインによる個別化医療シミュレーション
研究の後半では、分子・細胞レベルの詳細な病態機序モデルと臨床データを融合させた高度な「デジタルツインモデル」を構築します。このモデルを用いることで、仮想空間上で様々な治療介入シナリオの効果をシミュレーションすることが可能になります。患者様固有の生物学的特性と臨床経過を反映した精密な病態予測を行い、個々の患者様に最適なアプローチを特定する「包括的意志決定支援システム」の開発と検証を進めていきます。
主な論文業績
- Mizukoshi C, Kojima Y, Hayashi S, Abe K, Kasugai D, Shimamura T. scSurv: a deep generative model for single-cell survival analysis. Bioinformatics. 2026 Jan 2; 42(1):btaf671.
- Mizukoshi C, Kojima Y, Nomura S, Hayashi S, Abe K, Shimamura T. DeepKINET: a deep generative model for estimating single-cell RNA splicing and degradation rates. Genome Biol. 2024 Sep 6;25(1):229.
- Majima K, Kojima Y, Minoura K, Abe K, Hirose H, Shimamura T. LineageVAE: reconstructing historical cell states and transcriptomes toward unobserved progenitors. Bioinformatics. 2024 Oct 1;40(10):btae520.
- Kojima Y, Mii S, Hayashi S, Hirose H, Ishikawa M, Akiyama M, Enomoto A, Shimamura T. Single-cell colocalization analysis using a deep generative model. Cell Syst. 2024 Feb 21;15(2):180-192.e7.
- Abe K, Shimamura T. UNMF: a unified nonnegative matrix factorization for multi-dimensional omics data. Brief Bioinform. 2023; 24(5):bbad253.


